「親父の形見なんだ」そう言われてリールの修理を受けた話。

どーも、ムラキです。

 

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釣具屋で働いていて驚いた事の一つは、何十年も前の竿やリールを現役で使っている人が案外多い事。

 

正直メーカーもパーツはほぼほぼ持っていない。ベアリングみたいな規格品なら別かもしれないけどね。

 

年季の入ったモノは部品交換が必要な場合に関しては、基本的には諦めてもらうしかない。メーカーに送っても恐らく対応できないし、オレ達にもどうしようも出来ない。

 

正直言えば、「もう買い換えたら良いのに」ってスゲー思う。

 

でも、思い出とか容易には手放せない理由がある人もいる。

 

 

 

ある時、60代位のお客さんが古いスピニングリールを持ってきた。

 

「ダメ元で持って来たんだけどさ、親父の形見なんだよ」

 

 

 

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不具合の内容はよく覚えてない。

 

部品の取り寄せも、メーカーに出すのも無理、しかも図面やパーツ表すらない。

 

流石にこればかりはどうしようもない・・・

 

 

ただ、親の形見を「最後の頼み」として差し出されて、「いや無理です」と付き返すわけにはいかない。

 

 

「出来るだけやってみますね」

 

 

そう言って受け取った。

 

ただね。

正直な話、98%位内心無理だと思った。部品も無いし。

 

こんな言い方はあれだけど、せめて何かしらいじってみて「出来るだけやってみたけど・・・」っていう諦めるのに納得する状況を作ってあげたかった。

 

 

さて、どこからばらすか。

 

 

悩みながら、ハンドルを回したり色々いじっていると、何かの拍子なのか突然直った。

 

オレも何故直ったのかよく分かんなかったけど、取り敢えずお客さんに直った事を説明したんだけど、

 

申し訳無いくらいに感謝されたw

 

 マジで修理らしい修理なんかしてないし、工賃頂く事は出来ないですって言うのに、いや払わせてくれ、と。

 

結局工賃はお断りしたけど、あんなに喜んでくれるとは正直思わなかった。

 

 

 

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昔、「古畑任三郎」でこんな話があった。

 

犯人は悪徳骨董商。自分を嵌めようとする人間国宝の陶芸家を、共犯者の美術館の館長と一緒に殺害した。

 

その後、共犯者の館長も殺害する事になる。

 

凶器は壺。しかもそれは超価値の高い重要文化財。でも、その凶器となった壺の隣には「贋作の同じ壺」が。

 

その贋作は、殺害した陶芸家が作った「自分を嵌める為に作った」壺だった。

 

古畑は、骨董商がとっさの事で本物と贋作を取り違えたと推理していたが、実は違う。

 

骨董商は、「贋作を残すために」本物の壺を凶器にした。

 

何故なら贋作の壺は、

 

 

自分を陥れる為とはいえ、人間国宝が自分の為に作った世界で1つだけの作品。

 

 

だから自分にはとても価値のある壺なのだ、と。

 

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最初にも書いたけど、もうとっくの昔にメーカーのサポートが終わったような古い道具は、基本新しいのに買えた方が良いとオレは思う。

 

明らかに釣りの快適さが違うのだから、道具は基本的にアップデートさせていくべきだ。

 

 

でも、道具をアップデート出来ても、思い入れのバックアップは取れない。

 

 

自分の使う道具の価値は、自分にしか分からないよね。オレにも見に覚えの1つや2つあるけどね。

 

もう買い換えたら?って他人が思っても、

 

「一緒に」釣りに持っていきたい感情が、あのおじさんのリールにはあったんだと思う。

 

 

正直、やるだけやってみた、っていう既成事実だけ作るつもりだったのに、あんなに笑顔で感謝された事には若干の罪悪感もあるけれど、少なくとも無下に断るような事はしなくてよかった。

 

今でも親父さんとの思い出を連れて、どこかでシャリシャリ音を出しながら竿を出していると思う。

 

 

 

以上、ムラキでした。

 

 

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