どーも、ムラキです。
伊藤潤二の漫画に「阿彌殻断層の怪」という作品がある。
分けわからん謎過ぎる話なのだが、昔から好きで、今でもたまに読み返してはこの話の内容について考える。
ぶっちゃけ未だに自分の中で答えが分からない。
この作品を読んだ人も、読んだことない人も、オレの長年のモヤモヤにちょっと付き合ってくれないか。
「阿彌殻断層の怪」のあらすじ
とある地方で巨大地震が発生した。
震源地である山岳地帯には、地震発生後に大きな断層が生じていた。
その断層には、明らかに人の形をした穴が無数に空いており、テレビで大きく報道され、連日多くの人が押し掛けた。
主人公の大脇という男性もいてもたってもいられず現場を訪れた一人で、そこで一人の女性に出会い、彼女は自分そっくりの形をした穴を見つけてこう言う。
「あれは私の穴だ」
ここまで読んで訳わかめだと思うが、安心してくれ。オレもいまだに謎だ。
で、この穴に入りたがる人間、というか入る人間が続出する。
穴へ入る者は彼女と同様の事を口にする。
「自分が入る様に作られた穴なんだ」
と。
彼女は自分がその穴に入るべきか迷うが、怯え切っている。怖い、あの穴が自分を呼んでいると。
結局、大脇に説得されて彼女は穴へ入るのを止めた。
だがその日の夜、大脇は夢を見た。
超ざっくり説明すると、自分も穴へ入ってしまって・・・という内容の夢である。
不気味な夢に飛び起きた大脇だったが、その横には・・・
これ以上はネタバレが過ぎるので、話の説明はここまでだ。
その穴は「自由」か、「束縛」か。
自分の形通りに作られた穴。
怯えながらも自分が入るべき穴だと語る彼女。
大脇の見た夢。
何ともぶっ飛んだ話だが、結末を読んでも明確な答えも提示されない。伊藤潤二の作品あるあるだが。
「自分らしく生きる人間の”痛み”」
「誰かが用意した人生を生きる”歪み”」
そのどちらでもないかもしれないが、オレは何年もこの前者と後者の答えを行き来している。
我が道を行く人間が晒される理不尽な誹謗中傷、冷たい目、嫉妬・・・それらに傷つきながらも自我を保ち、なんとか前へもがく人間の道なのか。
安心安定の用意された生き方に甘んじ、少しずつ生じている「ズレ」に麻痺して、気が付くころにはボロボロになるまで社会に潰された人間の道なのか。
あなたはこの穴をどう捉えるだろうか。
検索してもこの話について語った記事があまり出て来ないからもう自分で書いた。
とりあえず伊藤潤二ワールドに興味がある人は是非一緒に考えてくれ。
以上、ムラキでした。
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