どーも、ムラキです。
元釣具屋店員です。
いらっしゃいませー
人の顔ってホントに青くなるんだな。
釣具屋時代、店で万引きした中学生の顔を見てそう思った。
店長「ごめん、しばらくバックルームいるから。」
オレ「あ、ハイ・・・なんかあったんす??」
ふと店長の後ろを見ると、下を向いて唇を噛んでる制服姿の男子中学生が2人いた。苦笑した店長は、持っていたフィッシングナイフを見せながら言った。
店長「万引き。何かあったら呼んでね。」
オレ「・・・ハイ」
後から聞くと、発覚したきっかけは別のお客さんからの指摘だった。
店長へ「あの子らさっきからフィッシングナイフを見てるけど大丈夫なのか?」的な事を教えてくれたらしい。一応、その手の商品は18歳未満には販売できない旨のPOPは貼ってある。
で、それを聞いた店長が様子を見に行くと、丁度店内の死角になるとこでバッグに忍ばせていた・・・という事だった。
ルアーやラインっていうなら分かるが、お前ら何でよりによってナイフやねん。しかもこれから忙しくなるのに店長無しで回せってか。
後半30分、FW1人レッドで退場になったサッカーがどんだけきついか分かるか中学生?いやオレも分からんけど、とりあえず”マジ勘弁”って事だよ。
真面目な話、過去にはルアーや小物で”やられた”跡を見つける事もあった。が、店内でとっ捕まえたのは初めて。
当たり前だけど、万引きの跡を見つけるとスゲー腹立つ。こいつらマジどんなツラして生きてるの?って思うものですが、少なくとも自分の弱い部分を晒してしまった人間の顔というのは、気の毒なほど青かった。
人間の顔はホントに青くなるものだと無駄に勉強になった。
しばらくして、警察署の少年係の婦警さんがやって来た。少年係の警察官というのを今まで見た事なかったけど、パッと見は近所のおばちゃんみたいな風格で、制服ではなかったので警察手帳を見せなければ「アミエビを買いに来た」って言われても疑わなかったと思うw
またしばらくすると、中学生の母親が別々にやって来た。どちらの親も顔は青かったが、眼だけは少し赤かった様に見えた。
店内が忙しくなり、店長がいない中店を回したので割にマジできつくなってしまった。マジ勘弁してくれ中学生。
先輩「オレこの後休憩なんやけど、飯どーしよ」
オレ「あーそうですよね、まだ事務所空かないっすよ」
先輩「あえて事務所で飯食うか。誰かのせいで飯が不味いなぁオイ?的な」
オレ「ゲス過ぎて草」
でもゲス先輩にちょっとだけ仕返しを期待したオレもきっとゲス。
しばらくして客注品を取りにバックルームへ行くと、事務所の中から怒号が響き渡っていた。バックルームの中にあるまた別の部屋が事務所になっているのだが、ドア越しなのと、涙声で殆ど何を言ってるか聞き取れなかったが、どっちかの母親だというのは分かった。
客注品を持ってバックルームを出ようとした時、バン、という音が聞こえた。ビンタの音とすぐに分かったが、”パン”ではなくて”バン”。
昔、親や教師にビンタ食らった事があるが、客観的に聞くと人を張り倒す時の音があんなに鈍重で痛々しく響き渡るとは思わなかった。重い炸裂音の後には、母親の押し殺した泣声だけが聞こえていた。
母親の泣く姿を見るというのは(正確に言えば見てないが)、他人であってもキツイものがある。多分自分にも似たような記憶があるからだろう。
あくまで持論だけど、人間の人格形成における大きな分水嶺のひとつは、母親の泣く姿を見る事だと思う。し、母親の泣く姿を案外子供は冷静に見ている。
誰の為に、どういう感情で泣いてるのか。オレ自身、母親に対する距離感はそういう所から見出だしてきたと思っている。良い悪い両方あるが。
当然商品は買い取ってもらった。万引きした経緯とかよく分からないけど、少なくともやんちゃ丸出しの子らでは無かったし、あれだけ重いビンタ食らえばもう二度と万引きしようとは思わないだろう。
帰り際、店長やスタッフに何回も頭を下げる親の姿を彼らはどう見てたのか。
その時感じた感情と、一緒に頭を下げた経験が彼らの財産になっていると思いたい。
因みに、
ゲス先輩は車の中で飯を食った。
チッ。
以上、ムラキでした。
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